今週のこの指とまれ!

映画「空が青いから」

【はじめに】
先日、奈良少年刑務所を訪れた。
レンガ造りの立派な壁に私は感動してしまいました。
しかし、そこは刑務所です。
刑務所の入り口まで行き、タバコを吸いながら、ここに居た少年たちに思いを馳せました。
タバコを吸い終わり、帰路に着いたとき、言葉が湧いてきた、いや空から降ってきました。

断末魔

僕は私であり
私は俺であり
俺は我であり
我はオイラであり
オイラはあたいであり
あたいは自分であり
自分は自分である

僕の中には無数のボクが居て
無数の僕らは叫んでいる
向こうの景色は壁で遮られている
その内側でぼくらは叫んでいる

この叫びを壁の向こうに届けたいからではない
この断末魔の叫びを壁の向こうに響かせて
聞く者を震え上がらせるためである
自分を奮い立たせるためである

壁に囲まれたボクらの味方は
頭上に広がる
真っ青の空と
頬をなでる
そよ風だけだ

空とそよ風だけが、僕の味方、というのは私の身体実感です。
日常生活の中で、全ての自分の行いが無意味に感じてしまう瞬間があります。ある日バイト中、またそのような無意味の圧力が私に襲いかかってきました。すると風が私の頬を撫でました。「大丈夫」そんな風に言われた気持ちがしました。もし、誰にも理解されなくても、誰に否定されても、僕が存在していることを風は一切否定しません。空に輝く太陽も、全ての人を同じように照らします。

奈良少年刑務所を訪れた時、美しいレンガ造りの壁を眺めながら、ここに住んでいた少年たちに思いを馳せていると、あの時の風を思い出しました。
少年たちはどんな気持ちだったのだろう。僕と同じように空や風に励まされる瞬間があったのだろうか、と考えていると、一つの詩に出会いました。奈良少年刑務所で詩の授業を行なっている人がいることを友人から聞いたのです。その詩の授業で書かれた少年たちの詩が収録されている作品に、以下の作品があります。

中二病の空模様
「つまらない日常から、抜け出したい」
そう思っていたぼくの世界は 一瞬で変わった
「もう二度と晴れることはありません」と言われたかのように
ぼくの過ちや未熟さのせいで 取り返しのつかないことになった

あのときの キレイな青空を 写真に残せばよかった
下を向いて歩くのではなく もっと空を見ればよかった

当たり前なんてものはないと いまになって気づいた
だから 晴れなくても いまの心の世界を大切にしたい
もう二度と 晴れることがなかったとしても
曇り空の下を 笑って歩けるように

コメント:
犯した罪は消えません。一点の曇りもない青空が広がることは、もうないのです。
曇り空の下を生きていく覚悟を決めた彼の決意に、胸がいっぱいになりました。

この詩とこれにコメントしている寮さんに私は胸がいっぱいになりました。「空」は誰からも奪うことはできません。そのことを強く感じました。
・なぜ少年刑務所で詩の授業をすることになったのだろう
・どうやってこのような詩作を生み出すような空間を立ち上げたのだろう
と疑問に思いました。

カロリン・エムケというドイツのジャーナリストは「なぜならそれは言葉にできるから 証言することと正義について」という本の中で語ることについて以下のように述べています。
「本書では、こういったさまざまな証人たちと、彼らが語ることを可能にする(または不可能にする)諸条件について論じたい。私の関心は、証人自身が「それ」をどう描写するかにある。証人自身が極限状態での過酷な体験をどうとらえるか。極限体験が彼らの語りの能力を本当に損なったのか、それとも損なわれたのはむしろ、語りの前提ーすなわち聞き手である他者への信頼ーのほうなのか。」

引用した最後の一文に、私の好奇心も同期しました。
人はどうすれば語り出すことができるのか。

これと同じように
人はどうすれば詩を書き始めるのか。

という問いが、「中二病の空模様」を読んで抱いた私の疑問です。

そしてそのような空間を立ち上げることができ、その空間で映画を作ることができたら、どんなものになるんだろう。と考えました。

◾️プロット
少年たちが取り返しのつかないを犯してしまい少年刑務所に収容されてしまう。
少年刑務所で詩の教室を行う人がいる。誰も信用していない若者たちは彼女に出会い、詩作を通じて世界の見方が変わっていく。 群像劇。

◾️制作方法
・一つの施設に1ヶ月(仮)共に共同生活を行う。(できれば、奈良少年刑務所か、刑務所が良い。)
寝食を共にする。ということで意識を擦り合わせる作業を生み出す。
・そこで、アウシュビッツ収容所の手記や、それこそ犯罪者の書いた本を読みながら「罪」というもの、「善」「悪」というもの、そして社会というものの関係性について考える時間、対話するを過ごす。
・そして、出演者はみな詩作を行う。
・できれば実際に刑務所に入っていた経験のある少年少女(とんちきさんとかいいな)もキャストに入れる。(そうすることによって他の出演者と何かしらの化学反応が起きるかもしれない。)
・寮美千子(空が青いから白を選んだのです。の作者)さんにアドバイザーとして関わってもらい、詩作の空間を立ち上げる。私の一番の好奇心が、思春期かつ、最もひねくれてしまったであろう、社会に希望を持って見ることができなくなったであろう少年たちにどうやってあのような素晴らしい詩作をしてしまうような空間を立ち上げたのか、ということである。

◾️予算
創作に関わる人たちが、快く参加したいと思う金額xキャスト

◾️キャスト
青少年役15人くらい?(これからリサーチ)
看守役
給食のおばちゃん?
詩の教室を行う人
その他、リサーチをしていく中で、映画に必要と感じた人物

◾️本企画のためのリサーチの仕方
●文献調査
・寮さんの詩の教室の本を読む。
・奈良少年刑務所に関連するおもしろそうな他の本(加害者の親族についての本などもあるみたい)
・奈良少年刑務所以外の、本作に関係してそうな本
・少年刑務所での他の面白い取り組みについて調べる
・CiNiiでの論文検索
・少年刑務所に関連しているドキュメンタリー映画やテレビ番組の特集を見る(「少年たち」など)

●インタビュー調査
・寮美千子さんに話を伺いにいく
教室でのエピソードや、教室を行っていた時に意識されていたことなどを聞く
・実際少年刑務所にいた人たちにインタビューを行う。
・少年刑務所に勤めている(た)人たちにインタビューを行う。

◾️お金の集め方
本企画に投資したい人たちを探す。
若者支援を行う団体に広報を依頼する手紙を書き、本企画を知ってもらう。
企業や投資家にCSRの事業として、この企画に投資しないか、手紙を書く。(可能であれば、リサーチの中で簡単な作品を少年刑務所で制作できれば尚良い)
周りの知人に、どうやったらお金が集まるか相談する
川村元気など、日本映画のプロデューサーに相談の手紙を書く。
クラウドファンディング

◾️売り上げについて
本作が上映され利益が出た場合。その50%(仮)は、犯罪を犯した若者を支援するための団体や、孤立した若者を支援する団体に寄付する。