『ワクラバ』TAMA NEW WAVEにて上映決定

 

大阪行きの夜行バスに乗り込んだ。窓際の席だった。カーテンを外し、迷惑にならないよう静かに窓の外を眺める。

高速道路、という移動を効率化するためだけに建てられた文明の達成について、思いを馳せたりはしない。

一定間隔に横切る外灯が過ぎ去っていくのを見ながら、東京で過ごしたこれまでの約2週間に思いを馳せる。システム、というものがあまり好きではないが、システマチックに並べられた高速道路の外灯はなんだか綺麗だ。

大阪から来たときは、シュッ、シュッ、シュッ、くらいの間隔で通り過ぎていたのにシュシュシュ、よりも少し遅く、シュッシュッシュくらいの間隔だった。
こういうところでも東京はせわしない。もしかしたら僕の勘違いかもしれないけどね。

伯楽 -hakuraku- の更新を約1年ほったらかした。最後の投稿が2019年の12月20日だっので、ほぼ1年だ。都会に居た僕は、都会人らしく忙しく過ごしていた。勢いしか知らなかった僕はダダダ!っと宣伝のための文章を書いている。これはこれでおもしろいけど、奈良に戻った僕には書けないテンションな気もする。今書いているこの文章は、高速道路を進む夜行バスのようにゆっくりと進んでいく。

約1年ぶりに伯楽 -hakuraku- の文章を更新したのは、もちろん「伯楽 -hakuraku-season2」が始動するからです。仁田直人season2も始まりしたので!

というのも、きっかけをいただきまして、映画祭TAMA CINEMA FORUMという映画祭の、長編部門”TAMA NEW WAVE”というところで、僕たち「伯楽 -hakuraku- 」が撮った映画「ワクラバ」がノミネートされたのです。拍手!歓喜!わたくしニッタの鬱っぽい時期が明けた、9月はじめの吉報でした。(僕の鬱っぽい時期に関してはこちら。)

去年の4月に撮影し、同じ年の12月に完成した「ワクラバ」という作品が、こうしてスクリーンで上映される機会を頂けたことは、この上ない幸せです。この撮影で掴んだ「何か」はまだ言語化できてないのですが、いい機会を頂いたので、映画製作で感じたことをコツコツ言語化していこうかなと思っております。

「自主映画っておもろいんですよ〜」
という話を聞いてたら、
「観てみたい!」
とこれを読んでくれてる人が思ってもらえるように、ポツポツと更新して行きます。

僕の計画としては
「2つだけある、どの業界からも彗星のごとくスターが現れる仕事」
「演じるとは何か」
「なぜ映画に脚本は必要なのか」
「即興演劇をおもしろくするにはどうしたらいいか」
「台詞とは何か」
「映画における『物語』の役割」
「キャラクターインタビューとサブテキストについて」
「監督の役割は優しい空間を作ること」
的なことを書いていこうかなと、今思いつきました。

そうです。

映画製作や演じることを実践していない人からしたら、余り興味が沸かないタイトルが並んでおります。
というのも、今回ノミネートされた”TAMA NEW WAVE”では、インディーズ(自主映画)の作品が選ばれる枠組みです。
いわゆる、TOHOシネマズのような大きな映画館で上映される、それこそ「鬼滅の刃」のように親子で楽しめる作品は選ばれません。そして僕らがノミネートされた「ある視点部門」はインディーズの作品の中でも「実験的な」試みをした作品が選ばれます。

だからといって、映画製作の仕事に関わっていない人は楽しめない、というわけではないと僕は思っています。

今振り返って思うのですが、僕は「声」というものを探す旅に出ていました。(僕個人の見解で、難波青年は「はらわた」というものに焦点が当たっていたそうです。)

決められた台詞を言わなければならない、「俳優」という仕事は「声」を出さなければなりません。物理的な声ではなく、人の身体にスッと響く声で台詞を言い、観客に何かしらの心の動きを起こさせる。それが役者の役割です。

どういうわけか人間は、俳優をしていなくても
「演技が上手い、下手」
というのを見分けることができるようです。ドラマを見終わったら「あの人の演技最高よね!」とか「あの人の演技はあんまり好きじゃないんだよね」とか話したりしてませんか?

これは全ての人間が常に、程度の差はあれど日々、「演じている」からなのではないかと思います。実践しているからこそ批評の目が育つのでしょう。知らないですけど。

あの人の台詞はスッと入ってくるなぁ、という役者さんっていませんか?

僕たちが「ワクラバ」の製作を通じて探し求めていたのは、この「観客にスッと届く声」です。
なのでここまで読んで
「うわぁ〜ちょっと難しそうやなぁ」
とちょっとでも思った方、ご安心ください。
「『スッと届く声』って気になる」
くらいの感じでいいんです。それを楽しみに遊びに来てください。

正直に言いましょう。もしかしたら、眠くなるかもしれません。でもそれでいいのです、クラシックのコンサートに行っても眠たくなるでしょ?だからといって「音楽がつまらない」って、わけではないでしょ?
良い作品は眠くなる、ということもあるのです。眠たくなったら寝てください。

それでも「おもしろかった」という体験になる、と言い切れるくらいには自信があります。なんたって168作品の中から選ばれたんだからね。えっへん。嬉しいな。

「ワクラバ」はミュージシャンになる夢を追いかけた青年の話です。田舎から東京へ多くの若者がやってきますが、主人公の翔もその1人です。しかし、この映画の舞台は東京ではなく、田舎の地元です。父の墓をお参りするために地元へ帰ってきた翔が、高校時代の友人や兄弟に会って話をする。ただそれだけのお話です。
これを読んでる人の中にも、学生をしたり、就職をして働いていたり、はたまた「アイドルになるために」といった理由で東京に来た人が居ると思います。何となく流れついちゃった、っていう人もいるでしょう。

東京の生活は疲れませんか。
僕は疲れます。たった2週間東京に居ただけなのに、身体がぐったりしています。よくもまぁ、3年半もこの街で生活していましたわ。ようやってました僕。電気3ヶ月止まってたこともありますからね。って、それは僕の生き方がおかしかっただけで、楽しく暮らせてる人も居るには居ると思うんですけどね。

関東圏には3700万人もの人が住んでいるそうです。その多くの人は東京ではないどこかから来た人です。
「何か成し遂げたい!」
と思って東京に来た人に、僕たちの「ワクラバ」を特に観て欲しいと思っています。

「役者で天下とってやる!」的なテンションで東京に乗り込んできた僕と、主人公の翔は似ています。まぁ、僕はそこまで鼻息荒かったかは分かりませんが、やるからには「売れたい」ってやっぱ思ってました。で、この映画作りながら思ったんですよ、
「『夢を追う』ってクソダサイな」
って。良い意味で。良い意味なんですよ。開き直れたというか。泥臭く行ってやろうやないか、っていうか。この映画を通して、そんな風に思えるようになりました。

画面に映る、ブサイクな僕の顔を何十回と見返して、
「これはこれでいい」
って思うのには時間がかかりました。一緒に作ったメンバーたちからの、
「ええ顔してる」
がなければ、心がボッキボキに折れるどころか、粉々になるくらいブサイクに見えました。物理的にブサイクというのも然り、夢を追うことってブサイクなんですよ。

伯楽 -hakuraku-製作第二弾
『ワクラバ』

 

「夢を追いかけることはブサイクだ」
中々、いいパンチラインが書けたところで、今日はそろそろお開きにしようかと思います。

僕たちが見つけた「声」が、あなたにどんなふうに届くのか、僕はこれを書きながらワクワクしてしまいました。

ではまた明日、ここでお会いしましょう。

P.S
僕、会場とか時間の宣伝が「どーん!」って書いてある宣伝文が好きじゃないので、こちらに別で書きました!これを読んで興味を持って頂けた方は、そこからお申し込み頂けたらと思います!

仁田直人